スペイン語学科であった私はスペイン文学とラテン文学の授業を受けていましたが、大好きだったのはラテン文学。スペイン文学の黄金時代というと詩や古典文学などが多く、高度すぎて私には退屈でした。
逆にどっぷりと浸かってしまったのはラテン・アメリカの小説。あの独特の世界は他の国の文学にはないものです。お国柄?ラテンアメリカ文学って一度も読んだことがないわという方はぜひ一度お勧めします! GABRIEL GARCI'A MARQUEZ /
ガブリエル・ガルシア・マルケス
コロンビアのノーベル賞作家。バルセロナに移住していた時期があります。
彼の出世作「百年の孤独」は題名ぐらいは聞いたことあるはず。世界的なベストセラーとなりました。長い長い小説なので覚悟。でもそのめくりめく世界へ思わず引き込まれます。
魔術的リアリズムと呼ばれる一連のラテン・アメリカ文学の代表。その他、短編も秀作だし、小説家を目指す人たちには一読というべき本も出しています。
ISABEL ALLENDE / イサベル・アジェンデ
叔父はピノチェトのクーデターの際に亡くなったチリの大統領サルバドール・アジェンデ。その後チリは長い独裁政権に入ります。アジェンデ一家は亡命し、現在カリフォルニア在住。まるで映画のように、歴史の一コマを実体験した人です。
彼女の小説を読むと、彼女の人生体験の深さ(?)、幼い頃の幸福、想像力の深さ、彼女自身が物語を楽しんで書いていること、などを感じます。
世界的なベスト・セラーとなった代表作「精霊たちの家」はガルシア・マルケスの「百年の孤独」が大好きだった私には人物構成などがマネに感じられ、ちょっと拒否反応だったのですが。実際の持ち味は違いますし、エピソードも別。ラ米ではフツーの世界なのかもしれません?
私が持っている本はパウラ(原題)。昏睡状態に陥った娘の枕元で、自分の半生を語っていきます。イサベル・アジェンデの物語の原点を思わせる人生で、「精霊たちの家」がそのままで出てきてもおかしくない世界。でも時々語られる母の娘への言葉の方に涙が止まらなくなります。
JORGE LUIS BORGES / ボルヘス
ブエノス・アイレスの幻想作家ホッヘ・ルイス・ボルヘス。詩人でもあります。彼の高貴な文章はちょっと難しく感じることもあります。まずはボルヘスの短編集などいかがでしょう。伝奇集と呼ぶにふさわしい、現実と幻想の世界です。私は長編小説好きで短編集は好みません。でもラ米作家だけは別。ぎゅっと詰まった短編の真髄ともいえる作品集が多くあります。
彼の人生についてはこちらをどうぞ。
MANUEL PUIG / マヌエル・プイグ
アルゼンチン出身。早くして亡くなったのが残念でなりません。
余談ですが彼はカタルーニャ人の血が入っているのではなかろうか。プイグってカタルーニャ語の苗字。「プッチ」と読みます。建築家プッチ・イ・カダファルクでもご存知。私のカタルーニャ語の先生もプッチ。「バルセロナにいても読み方を聞かれる」と怒っておりましたが、多い名前です。香水などで有名なプッチ(puig)グループはソニプラで人気のクリーム、アベナ・キネシアの親会社。
ところで和訳で読んだことのある「赤い唇」オモシロくないしよく分かりませんでした。でもラ米文学は私のような凡人にはついていけない「わけの分からなさ」があるので気にも留めていませんでした。ところが!
そうと知らずにスペイン語版を読んだのです。これが面白かった!あれは翻訳が悪かったのではなかろうか?でも見ると私の尊敬する野谷文昭さんが訳しているようですねー。それともあの頃は未熟者だったので難解に感じたとか?もういちど和訳版を読んでみたい気持ちです。
「蜘蛛女のキス」はミュージカルにまでなりました。私もNYで見ました!
MARIO VARGAS LLOSA
/ マリオ・バルガス・リョサ
ペルーの作家。大統領選に出馬しフジモリに敗れたこともあり。ベテラン作家で難しいイメージがありますが、最近はフリアとシナリオライタのようにコミカルな作品もあり、幅を感じる作家です。
「フリアとシナリオライター」は読み出すと止まりません!笑えます!バルガス・リョサは難しいと思っている人はぜひどうぞ。
「都会と犬ども」は少年や社会問題を取り上げた作品。スペインでは評価の高い小説で、よく勧められます。「緑の家」は代表作。
ALEJO CARPENTIER / アレッホ・カルペンティエ-ル
フランス人の建築家の父とキューバ人の母。12歳でパリへ渡り音楽を学び、大学はハバナで建築学を勉強した才能あふれる人。
ラテン・アメリカ文学を評する魔術的リアリズム ”lo real maravilloso”という言葉はカルペンティエールが作りました。
JUAN RULFO / フアン・ルルフォ
こちらはメキシコ。10歳の頃には父も母も亡くなっています。写真や評論など彼の活動は多岐にわたりますが、小説はたったの2作。これが素晴らしい。このページの有名ラ米作家たちが尊敬する作家です。
●[ペドロ・パラモ]ガルシア・マルケスの「百年の孤独」と並ぶ名作とされる一冊。
●「燃える平原」傑作の短編集。フアン・ルルフォの作品は手に入りにくいそうなので入手はお早めに。
ラテン・アメリカ代表作家たち
●OCTAVIO PAZ / オクタビオ・パス メキシコのノーベル賞作家。
●JULIO COLTAZAR / フリオ・コルタサル
●LAURA ESQUIVEL / ラウラ・エスキヴェル 赤い薔薇ソースの伝説
原題は”Como agua para chocolate”。アメリカでベストセラーとなりました。Titaのかわいらしさ。台所が舞台。お料理メニューが出てくる。などが新鮮。スペイン語版ですがひさしぶりに買った小説がはずれなかった!と思った本です。
ところが最近読み返すとペドロの身勝手さと優柔不断さにイライラ。おまえが一番悪い!と思います。この小説に腹を立てる女性も多いのではなかろうか?まー、一度読んでくださいませ。
●JOSE DONOSO / ホセ・ドノソ 夜のみだらな鳥 ブニュエルが映画化しようとしたと聞けばどんな物語か分かるのでは?/ 3つのブルジョワ物語
●CARLOS FUENTES / カルロス・フエンテス 遠い家族 / 私が愛したグリンゴ映画化されました。
●ラテンにキスせよー「南」のリズムを読む野谷文昭著。私が10年以上前にスペインへ住居を移した時に持参した本は3冊です。その1冊がこれ。ラテン・アメリカの作家にスポットをあて、作者が実際に会った印象を含めて身近に読み解いた本です。貴重なプイグとのインタビューもあり。これを読むとラテン・アメリカ文学が読みたくて読みたくてたまらなくなる!そんな情熱が移ってくる本です。
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